「モンティ・ホール問題」は,直感に反するため誤解されやすい確率の問題です.この記事では,難しい条件付き確率を一切使わずに,高校生でも簡単に理解できる方法を丁寧に解説します.数学が苦手でも問題ありません.シンプルな考え方だけで,なぜ『ドアを変えると当たる確率が上がるのか』が理解できます.
モンティ・ホール問題とは?よくある誤答例
Monty Hall problem (モンティ・ホール問題) とは,次の問題です.誤答されやすい問題として有名です.モンティ・ホール問題
- 1つの「当たり」のドアを含む,3つのドアがあります.
- あなたは好きなドアを1つ選びました.
- すると,出題者は「あなたが選ばなかった2つのドア」の中から「はずれのドア」を1つ教えた上で,あなたにドアを変更することを許しました.
- さて,「当たり」を引くために,あなたはドアを変更すべきでしょうか?
モンティ・ホール問題で多い誤答例(確率が1/2だと思う理由)
モンティ・ホール問題で誤答が生じる理由は,直感的に『確率は1/2』と考えやすいからです.具体的には,次のような考察をしてしまいがちです.出題者がドアの変更を許した時点での確率を考えると,残っているのは当たりとハズレ1つずつだから
「どちらも 1/2の確率」
この解答は「新たに得られた情報がハズレのドア1つだけ」という前提に立っています.つまり,あなたがはじめにドアを選んでいない問題であれば,正しい回答です.
しかし,この問題では,あなたがドアを一つ選んでいた事で得られたのは「ハズレのドア1つ」という情報だけでは無いのです.
モンティ・ホール問題を条件付き確率なしで簡単に理解する方法
上で言及した,「ハズレのドア1つ」以外の情報とは,「出題者が,もう一方のドアを選ばなかったこと」です.なぜこれが重要な情報なのか,考えてみましょう.最初に選んだドアによる当たりハズレのパターン
この問題では,- あなたが最初に当たりを引く場合
- あなたが最初にハズレを引く場合
の2通りがあります.
それぞれの場合について整理すると,以下のように,あなたが最初に当たりを引くか,ハズレを引くかだけ」で,出題者が選ばなかったドアの当たりハズレが決定してしまう のです!
あなたが最初に選んだドア | 出題者が選ぶドア | 出題者が選ばなかったドア |
---|---|---|
当たり (確率1/3) | 残ったドアのどちらでもよい | 100%ハズレ |
ハズレ (確率2/3) | 残ったドアのうちハズレの方 | 100%当たり |
結論
以上より,- 出題者が選ばなかったドアがハズレの確率 = 最初に当たりを引く確率 = $1/3$
- 出題者が選ばなかったドアが当たりの確率 = 最初にハズレを引く確率 = $2/3$
となることがわかります.
これより,以下の結論が得られます:
結論
当たりを引く確率は,
- ドアを変えない人の場合,最初に当たりを選ぶ確率に等しいから $1/3$.
- ドアを変える人の場合は,最初にハズレを選ぶ確率に等しいから $2/3$.
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モンティ・ホール問題についてより詳しく知りたい方は,Wikipediaの解説も参照ください.条件付き確率やベイズの定理に興味がある方は次の記事を参照してください.
➡ ベン図でわかる条件付き確率とベイズの定理
➡ ベイズの定理は表を使うと公式なしで計算できる
よくある質問(FAQ)
Q1:ドアを変えると絶対に当たりやすくなるの?A1:ドアを変えることで当たりの確率は必ず上がります(1/3→2/3).
Q2:なぜ直感と違う結果になるの?
A2:出題者が回答者が選んだドアを選べないために,回答者がはじめに当たりを選ぶかハズレを選ぶかで状況が異なるためです.