POINT
- モンティ・ホール問題は,誤答しやすいことで知られる確率問題.
- モンティ・ホール問題を簡単に解く方法を紹介する.
条件付き確率なしでモンティ・ホール問題を理解する方法を紹介します.
問題を知っている人向けに結論から.次の考察だけで済みます!
結論
当たりを引く確率は,
- ドアを変えない人の場合,最初に当たりを選ぶ確率に等しいから $1/3$.
- ドアを変える人の場合は,最初にハズレを選ぶ確率に等しいから $2/3$.
この記事では,この考え方を詳しく説明します.
モンティ・ホール問題とは
Monty Hall problem (モンティ・ホール問題) とは,次の問題です.誤答されやすい問題として有名です.モンティ・ホール問題
- 1つの「当たり」のドアを含む,3つのドアがあります.
- あなたは好きなドアを1つ選びました.
- すると,出題者は「あなたが選ばなかった2つのドア」の中から「はずれのドア」を1つ教えた上で,あなたにドアを変更することを許しました.
- さて,「当たり」を引くために,あなたはドアを変更すべきでしょうか?
誤答例
出題者がドアの変更を許した時点での確率を考えると,残っているのは当たりとハズレ1つずつだから
「どちらも 1/2の確率」
この解答は「新たに得られた情報がハズレのドア1つだけ」という前提に立っています.つまり,あなたがはじめにドアを選んでいない問題であれば,正しい回答です.
しかし,この問題では,あなたがドアを一つ選んでいた事で得られたのは「ハズレのドア1つ」という情報だけでは無いのです.
解説(条件付き確率を使わない方法)
上で言及した,「ハズレのドア1つ」以外の情報とは,「出題者が,もう一方のドアを選ばなかったこと」です.なぜこれが重要な情報なのか,考えてみましょう.この問題では,
- あなたが最初に当たりを引く場合
- あなたが最初にハズレを引く場合
の2通りがあります.
それぞれの場合について整理すると,以下になります:
あなた | 最初に当たりを引いた場合 | 最初にハズレれを引いた場合 |
---|---|---|
出題者 | どちらのドアを選んでも良い | ハズレ(一方だけ)を選ばなければならない |
残ったドア | 確実にハズレ | 確実に当たり |
従って,この問題ではあなたが最初に当たりを引くか,ハズレを引くかだけ」で,出題者が選ばなかったドアの当たりハズレが決定してしまう (下図) のです!
上の議論から,簡単に確率を求めることができます.
あなた | 最初に当たりを引いた場合 (確率:$\dfrac{1}{3}$) | 最初にハズレれを引いた場合 (確率:$\dfrac{2}{3}$) |
---|---|---|
出題者 | どちらのドアを選んでも良い | ハズレ(一方だけ)を選ばなければならない |
残ったドア | 確実にハズレ | 確実に当たり |
この表から,
- 出題者が選ばなかったドアがハズレの確率 = 最初に当たりを引く確率 = $1/3$
- 出題者が選ばなかったドアが当たりの確率 = 最初にハズレを引く確率 = $2/3$
となることがわかります.
これより,以下の結論が得られます:
結論
当たりを引く確率は,
- ドアを変えない人の場合,最初に当たりを選ぶ確率に等しいから $1/3$.
- ドアを変える人の場合は,最初にハズレを選ぶ確率に等しいから $2/3$.