【読書メモ】生命を支えるATPエネルギー(二井將光)

POINT

  • 動物はエネルギーをATPに保持する.
  • ATPの70%はイオン輸送に使われる.

ATPの構造

ATP(アデノシン三リン酸)は,名前の通り「アデノシン+リン酸+リン酸+リン酸」という構造になっている.

アデノシンは「アデニン+リボース」という構造である.

末端のリン酸が外れたものがADP(アデノシンリン酸)である(アデノシン+リン酸+リン酸).(【参考】第2章 図2-1)

動物がエネルギーを得るまで

  1. 植物が光合成で「糖」をつくる
  2. 動物が,植物の「糖」を消化し,「グルコース(ブドウ糖)」として細胞に取り込む
  3. 動物が,「グルコース」のエネルギーを小分けにして「ATP」に保持する(代謝)
  4. ATPをADPとリン酸に分解することで,エネルギーを取り出せる(ATP 1mol あたり7.3k cal)
(【参考】第1章〜第2章)

ATPの使い道

70%がイオンの輸送に使われる.特に,ナトリウム・カリウムポンプで全体の60%以上を消費する.つまり,イオン環境を整えること(例えば,濃度,濃度差,電位差,pH)が生物にとって超重要!(【参考】第5章)

他にも,DNAの材料,RNAの構成要素,分子のリン酸化にATPが使われる.(【参考】第2章)

ATPアーゼ

ATPを利用する酵素を「ATPアーゼ」と呼ぶ(アーゼ:酵素のこと).

上で出てきたイオンの輸送は,イオンを輸送するATPアーゼが行う.これには3種類ある.

名称 特徴
F-ATPアーゼ
(F-ATPase)
ATP合成酵素を指す
P-ATPアーゼ
(P-ATPase)
イオン輸送の際に,
自身がリン酸化/脱リン酸化
V-ATPアーゼ
(V-ATPase)
細胞内膜系のオルガネラに存在