
- サイコロ1個の超極端な例で,条件付き確率の理解を深めましょう.
- ベン図を使って図解します.
何事も,理解のコツは「極端な例」を考えることです.例えば,
- 数学なら,すごく数が小さい場合/大きい場合を考える.
- 物理なら,物理量が$0$あるいは$\infty$の極限を考える.
といったことは常套手段です.
ここでは条件付き確率を理解するために,サイコロ1個を用いた簡単な例を考えてみましょう.この「極端な例」はきっと理解の助けになるはずです.
条件付き確率について,もっと詳しく知りたい方は次の記事を参照してください:
問題1.:サイコロを振ったとき,2の目が出る確率は?
簡単な問題から順に考えてみましょう.もちろん,確率は$\dfrac{1}{6}$ですね
問題2.:偶数がでたとき,2の目が出る確率は?
それでは,次の問題はどうでしょうか?- 問題2.:サイコロを振った.その後出目が偶数であることを教えてもらった.このとき,2の目が出た確率は?
この問題に関して,以下は正しい解答でしょうか?
実は,出目の情報を教えてもらったことで確率は変わるため,この解答は誤りです.まず,偶数が出たと知ったあとでは
- $2,4,6$のいずれかの目が出る確率は$1$
- $1,3,5$のいずれかの目が出る確率は$0$
となっていることに注意しましょう(下のベン図を参照).問題1の状況とは完全に異なりますね.

この事実から,問題2は次のように言い換えることができます:
- 出目は2,4,6のいずれかである
- 2,4,6は当確率で出る
のもとで,2が出る確率は?
この問題なら,簡単に答えがわかるでしょう.2の目が出る確率は$\dfrac{1}{3}$となりますね.
(※ 問題1. の確率は事前確率 (Prior probability),問題2. の確率は事後確率 (Posterior probability) と呼ばれます.)
これくらい簡単な問題だと,通常の条件付き確率の解き方を用いることなく,直感的に理解できたのではないでしょうか?
通常の条件付き確率の解き方も見ておきましょう.ベン図を書いてみればわかるように,結局やっていることは同じです.
P(A\cap B)=1/6,\quad P(A)=1/2
\end{aligned}
P(B|A)=\frac{P(A\cap B)}{P(A)}=1/3.
\end{aligned}

問題3:奇数がでたとき,2の目が出る確率,問題4:2がでたとき,2の出る確率
もっと極端な例も考えてみましょう.- 問題3:サイコロを振った.その後出目を見ずに,奇数であることを教えてもらった.このとき,2の目が出た確率は?
- 問題4:サイコロを振った.その後出目を見ずに,2が出たことを教えてもらった.このとき,2の目が出た確率は?
問題3. は,サイコロを振った時点では2の目が出る確率は$\dfrac{1}{6}$ですが,奇数であることを教えてもらった後は2の目が出る確率は0になりますね.
同様に問題4. は,サイコロを振った時点では2の目が出る確率は$\dfrac{1}{6}$ですが,2が出たことを教えてもらった後は2の目が出る確率は1になりますね.
天気予報でも極端な例が作れます.上の例問題3,4に相当する極端な例を作ってみましょう:
- 問題3':今日は一日中晴れていました.今日の降水確率は?
- 問題4':今日は雨が振りました.今日の降水確率は?
イメージが掴めましたか?