トルコリラ下落の背景と影響(2018年)

POINT

  • 2018年のトルコリラの急落の背景と影響についてまとめました.
  • 注:2018/09/13にトルコ中央銀行が政策金利を17.75%から24%に引き上げることを発表し,リラは上昇に転じています.

以下のチャートに示すように,2018年のトルコリラは米ドルに対して下落を続けています.特に8月に入ってからの急落は大きく報道されています.そこで,なぜ2018年にトルコリラが下落しているのか,今後どのような影響を及ぼすのかについて調べました.




トルコリラについて

トルコの政策金利は2018/7の時点で17.75%と非常に高く(参考:トルコ・中銀政策金利|経済指標|みんかぶFX),スワップポイントによる利益を得ようとする投資家に注目されていました.
(2018/9/14追記:9/13に政策金利引が24%に引き上げられました:トルコ中銀が大幅利上げ、政策金利24%にーリラ大幅高 - Bloomberg


各国の「政策金利」と「発表スケジュール」は以下で確認することができます.例えば,2018/08時点では日本の政策金利が0.10%,米国の政策金利が2.00%です.

急落の背景

最近のトルコリラ下落の背景に迫ってみましょう.米国の利上げだけではなく,複数要因があることがわかります.2018/07までの流れは,以下で簡潔にまとめられています.


次に,それ以降の出来事について追ってみます.

インフレ対策による利上げが予想されていた

トルコのインフレ率(消費者物価指数の前年に対する上昇率)は高い水準で推移しています(下図).
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トルコのンフレ率の推移(出典:世界経済のネタ帳)

市場関係者はインフレ対策による利上げを予想していました.しかし,2018/7/24にトルコ中央銀行が政策金利を据え置いたために,トルコリラは急落しました(一時,前日比約4%下落).
www.nikkei.com

大統領の金融政策への影響力を懸念

利上げは金融引き締めを意味し,景気への悪影響が懸念されます.そのため,エルドアン大統領は利上げ反対を表明してきました.

トルコ中央銀行の「政策金利を据え置く」という決定は,こうした大統領に配慮したものだと解釈されました.今後も,大統領が金融政策に影響するのではないかと懸念されています.

jp.reuters.com

米国との対立

米国人牧師の拘束を続けるトルコに対する米国の制裁(2018/08/01に報道)により,トルコリラは下落しました.
www.bloomberg.co.jp



こうしたトルコとの関係悪化を受けて,米国のトランプ大統領は鉄鋼とアルミニウム関税を倍に引き上げることを承認しました(2018/08/10のツイート).結果として鉄鋼は50%,アルミニウムは20%の関税が課せられることになりました(ツイートの日本語訳:トランプ米大統領、トルコの鉄鋼・アルミ関税を倍に引き上げ - Bloomberg).

この関税引き上げによって,トルコリラは急落(一時24%下落)しています.
www.bloomberg.co.jp


米国の制裁に対し,トルコのエルドアン大統領は米国製電子機器をボイコットすることを表明しています(2018/08/14).
www.bloomberg.co.jp

また米国による関税引き上げに対しては,乗用車・アルコール・タバコなど,一部関税を2倍に引き上げる報復関税を課しました(2018/08/15).
jp.reuters.com

影響

トルコリラの下落により,トルコの企業だけではなく世界経済への影響が懸念されます.

銀行への影響

トルコの融資額が大きい銀行への影響が懸念され,売り材料となっています(2018/08/10).
www.nikkei.com


2018/08/13の日本株式市場でも,銀行株が売られました.トルコを巡る問題の影響が指摘されています.
www.bloomberg.co.jp

欧州への影響

欧州はトルコとの結びつきが強く,今回の問題の影響を真っ先に受けると考えられます.2018/08/10の時点でも以下のような影響が見られます.
www.nikkei.com


新興市場への影響

トルコ・リラの急落の影響が新興市場へと波及しています.

2018/08/13には南ア・ランド,メキシコ・ペソがドルに対して大幅に下落しました.アジア新興市場への影響として,中国・人民元,インド・ルピー,インドネシア・ルピアの下落も報道されています.
www.bloomberg.co.jp

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