高校物理|波動の波長・速度・振動数の関係を公式から解説

高校物理(波動分野)で頻出の波長・速度・振動数の関係を解説します.公式の導出方法から理解することで,入試で役立つ本質的な理解が可能になります.

POINT
  • 波動現象における波長・速度・振動数の関係を整理します.
  • 振動数は「単位時間あたりの波の個数」,速度は「単位時間に波が進む距離」です.

注(わかる人向け):
文字に単位をつける記法(「周期$T\,\mathrm{s}$」など)は文字が無次元となるため良くないと思いますが,わかりやすさ重視で一部そのような記法を用いています.同じ理由で「単位時間」がわかりにくければ,全て「$1\mathrm{s}$」に置き換えれば理解しやすくなると思います.

周期

周期
時間的に周期性を持つ波を考えます.「ある位置において波を観察したとき」に1回の周期に要する時間を「周期$T$」と呼びます.

例えば,正弦波

\begin{aligned}
f(x,t)=A\sin\biggl(\frac{2\pi}{\lambda}x - 2\pi f t\biggr)
\end{aligned}
を「位置$x$」で観察してみましょう.すると,時間が$1/f$進むごとに周期的になっていることがわかります:
\begin{aligned}
f(x,t+1/f)
&=A \sin\biggl[\frac{2\pi}{\lambda} - 2\pi f \biggl(t+\frac{1}{f}\biggr)\biggr] \\
&=A \sin\biggl[\biggl(\frac{2\pi}{\lambda}x - 2\pi f t\biggr)- 2\pi\biggr] \\
&=f(x,t).
\end{aligned}
したがって,$T=1/f$が「周期」です.

波長

波長
空間的に周期性を持つ波を考えます.この波の「波長$\lambda$」とは,「ある時刻における波形」の「1周期の波の長さ」のことです.

先程と同じ式で表される正弦波

\begin{aligned}
f(x,t)=A\sin\biggl(\frac{2\pi}{\lambda}x - 2\pi f t\biggr)
\end{aligned}
を「時刻$t$」のときに観察してみましょう.すると,$x$軸方向に$\lambda$進むごとに周期的になっていることがわかります:
\begin{aligned}
f(x+\lambda,t)
&=A\sin\biggl[\frac{2\pi}{\lambda}(x+\lambda) - 2\pi f t\biggr] \\
&=A\sin\biggl[\biggl(\frac{2\pi}{\lambda}x - 2\pi f t\biggr)+2\pi\biggr] \\
&=f(x,t).
\end{aligned}
したがって,$\lambda$が「波長」です.

振動数(周波数)

振動数(周波数)
周期的な波の「振動数$f$」とは「単位時間に波が振動する回数(単位時間に発せられた波の数)」のことです.但し,「1回の振動」とは「1周期振動したこと」を意味します.

波の周期を$T$とすると,

\begin{aligned}
f=\frac{1}{T}
\end{aligned}
と表せます.なぜなら,右辺は振動数の定義である「単位時間に波が振動する回数」を表しているからです.

関係式

波長(波の長さ)は,「波がいる領域の長さ」を「波の個数」で割れば求めることができます.$1\mathrm{s}$の間に発せられた波(波の速度:$V\,\mathrm{m/s}$)を考えると,下図のようになります.

高校物理(波動)|波長・速度・振動数の関係の図解
波長・速度・振動数の関係(高校物理の波動分野の基本公式)

つまり,

\begin{aligned}
\text{波の長さ}
&=\frac{1秒間に発せられた波が存在する範囲の長さ}{1秒間に発せられた波の数} \\
&= \frac{V \times 1\mathrm{s}}{f \times 1\mathrm{s}}
\end{aligned}
なので,
波長・速度・振動数の関係
\begin{aligned}
\lambda
=\frac{V}{f}
\end{aligned}
となります.

高校物理では,「波長」「振動数」「波の速度」の関係が頻繁に問われます.公式の導出方法をしっかり理解しておくと,複雑な波動問題にも自信を持って取り組めます.

よくある質問|波長・速度・振動数の関係

波長・速度・振動数の公式の覚え方は?

波長は単位時間あたりの波の数($\lambda = V/f$)と覚えるとわかりやすいです.単位(波長[m],速度[m/s],振動数[Hz])とセットで理解しましょう.

振動数と周波数に違いはありますか?

振動数と周波数は基本的に同じ意味です.どちらも1秒間に何回振動するかを表し,単位はヘルツ(Hz)です.

波の周期と振動数の関係は?

周期$T$は振動数$f$の逆数($T=1/f$)です.つまり周期が大きいほど振動数は小さくなります.

あわせて読みたい関連解説

参考文献