【高校物理】力学〜微積分を使おう

POINT

  • 微積分を使えば公式を覚えずに済む.
  • 質点の運動に関する公式は,運動方程式から自然に導かれる.

高校で学ぶ物理では,たくさんの公式や解法を覚えなくてはなりません.しかし,高校数学で習う「微積分」と結びつけるだけで,覚えなければならないことはほとんどなくなります.

ここでは,高校生が知っていれば

  • ラクができる
  • 物理についての理解が深まる

ことについてまとめてみます.これからも順次追記予定です.

記法について

まずは,この記事で使う記号について決めておきます.

時間微分

物理では,時間微分を点で表す習慣があります.例えば,
\begin{align}
\dot{x}(t)=\frac{\mathrm{d} x}{\mathrm{d}t}(t),\quad
\ddot{x}(t)=\frac{\mathrm{d}^2 x}{\mathrm{d}t^2}(t)
\end{align}
のように,1階微分なら点1個,2階微分なら点2個で表現します.これらは,「エックス・ドット」,「エックス・ツードット」と呼ぶ事が多いです.点が多くなりすぎると見にくいのですが,3階微分くらいまでは使われます.

ベクトル

高校の教科書では,ベクトルを$\vec{x}$と「文字の上に矢印を付けて」表すことになっています.しかし,一般には$\boldsymbol{x}$と「太字」でベクトルを表したり,文脈で分かる場合には$x$と「何も修飾しないで」表したりします.この記事では,ベクトルは「太字」
\begin{align}
\boldsymbol{x}
\end{align}
で表すことにします(上に矢印をつけて表すと,時間微分の「ドット」と被ってしまって書きにくいため).

運動方程式からなんでもわかる

質点の運動は,運動方程式から決定されます.剛体になると話は別で,これはそのうち追記予定です.


高校物理では運動方程式は$ma=F$と表しますが,$a$は加速度のことなので$a=\ddot{x}$です.したがって,運動方程式は

運動方程式
\begin{align} m\ddot{ \boldsymbol{x}}(t) = \boldsymbol{F} \end{align}

と書くことができます.ここで,$\boldsymbol{x}$と$ \boldsymbol{F}$はベクトルです.つまり,

$\displaystyle
\boldsymbol{x}(t) =
\left(
\begin{array}{c}
x(t)\\
y(t)\\
z(t)
\end{array}
\right),\quad
$$\displaystyle
\ddot{ \boldsymbol{x}}(t) =
\left(
\begin{array}{c}
\ddot{x}(t)\\
\ddot{y}(t)\\
\ddot{z}(t)
\end{array}
\right),\quad
$$\displaystyle
\boldsymbol{F}=
\left(
\begin{array}{c}
F_x\\
F_y\\
F_z
\end{array}
\right) ,\quad\cdots
$

といった具合です.

物体が等速度運動をする→物体に働く力は釣り合う

これは,物体が動かない(速度ゼロ)の場合も含んでいることに注意しましょう.$\dot{ \boldsymbol{x} }(t)$が定数であることから,$\ddot{ \boldsymbol{x} }(t) = \boldsymbol{0}$です.したがって,運動方程式は

\begin{align} \boldsymbol{0}=\boldsymbol{F} \end{align}

です.これは,物体に働く力が釣り合っているを意味しています.

物体に働く力が釣り合う→物体が等速度運動をする

上とは逆の状況を考えてみましょう.$\boldsymbol{F}=\boldsymbol{0}$のとき,運動方程式は
\begin{align}
m\ddot{ \boldsymbol{x}}(t) = \boldsymbol{0}
\end{align}
なので,$\ddot{ \boldsymbol{x}}(t) = \boldsymbol{0}$となります.両辺を時間で積分すれば$\boldsymbol{C}_1$を任意定数(ベクトル)として
\begin{align}
\boldsymbol{0}
&= \int_{t_0}^t \ddot{ \boldsymbol{x}}(t^\prime) \,\mathrm{d}t^\prime \\
&= \int_{t_0}^t \frac{\mathrm{d} \dot{ \boldsymbol{x}}}{\mathrm{d}t^\prime}(t^\prime) \,\mathrm{d}t^\prime \\
&= \dot{ \boldsymbol{x}}(t) - \dot{ \boldsymbol{x}}(t_0).
\end{align}
したがって,$\boldsymbol{v}_0=\dot{ \boldsymbol{x}}(t_0)$と書くことにすれば

\begin{align} \dot{ \boldsymbol{x}}(t) = \boldsymbol{v}_0 \end{align}

となります.つまり,等速度運動することがわかりました.


もう一度$t$で積分すれば,$\boldsymbol{x}$を求めることができます.つまり,

  • 左辺:$\displaystyle \int_{t_0}^t \dot{ \boldsymbol{x}}(t^\prime) \,\mathrm{d}t^\prime = \boldsymbol{x}(t) - \boldsymbol{x}(t_0)$
  • 右辺:$\displaystyle \int_{t_0}^t \boldsymbol{v}_0 \,\mathrm{d}t^\prime = \boldsymbol{v}_0 (t-t_0)$

なので,$\boldsymbol{x}_0=\boldsymbol{x}(t_0)$と書くことにすれば

\begin{align} \boldsymbol{x}(t) = \boldsymbol{x}_0 + \boldsymbol{v}_0 (t-t_0) \end{align}

となります.等速直線運動しているので,位置が単位時間あたり$\boldsymbol{v}_0$変化するという当然の結果が得られました.

一様な重力

f:id:IsThisAPen:20181013151055j:plain:w400
一様な重力.$\displaystyle
\boldsymbol{g} =
\left(
\begin{array}{c}
0\\
0\\
-g
\end{array}
\right).
$
物体に一様な重力が働く状況を考察します.例えば,斜方投射の問題で扱われます.

\begin{align} m \ddot{ \boldsymbol{x} }(t) = m\boldsymbol{g} \end{align}

です.この場合には,一定の加速度$\ddot{ \boldsymbol{x} }(t) = \boldsymbol{g}$がかかることになります.

時間積分により速度を求めると,$\displaystyle \int_{t_0}^t \ddot{ \boldsymbol{x} }(t^\prime)\,\mathrm{d}t^\prime = \int_{t_0}^t \boldsymbol{g}\,\mathrm{d}t^\prime$から$\dot{ \boldsymbol{x}}(t) - \dot{ \boldsymbol{x}}(t_0) = \boldsymbol{g} (t-t_0)$.これまで同様に,$\boldsymbol{v}_0=\dot{ \boldsymbol{x}}(t_0)$と書くことにすれば

\begin{align} \dot{ \boldsymbol{x}}(t) = \boldsymbol{v}_0 + \boldsymbol{g} (t-t_0) \end{align}

となります.

もう一度積分すれば,$\displaystyle\boldsymbol{x}(t) - \boldsymbol{x}(t_0) = \boldsymbol{v}_0(t-t_0) + \frac{1}{2}\boldsymbol{g} (t-t_0)^2$.$\boldsymbol{x}_0=\boldsymbol{x}(t_0)$と書くことにすれば

\begin{align} \boldsymbol{x}(t) = \boldsymbol{x}_0 + \boldsymbol{v}_0(t-t_0) + \frac{1}{2}\boldsymbol{g} (t-t_0)^2 \end{align}

です.

これら2つは,高校物理では公式として覚えますが,運動方程式さえ知っていれば簡単に計算できるのです.

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