面積や体積を積分で求める方法【具体的な計算例あり】

この記事では,積分を使った面積や体積の求め方を,具体的な計算例(円の面積・球の体積・回転体の体積など)を通じて丁寧に解説します.高校数学や大学受験で頻出の内容を取り扱い,公式の丸暗記ではなく積分の本質的な理解を目指します.

POINT
  • 積分を使った面積・体積の計算方法を丁寧に解説.
  • 同じ図形の面積や体積を複数の積分方法で計算.
  • 円・球・回転体の計算例を紹介.

公式として覚えているものも,同じプロセスで導かれることを見てみましょう.いつでも導出できるようになると便利です.とりあえずは球を中心に作成しました.他の例も,これらの計算を参考にすれば計算できるはずです.今回は実用例が中心です.別記事で,一般論についても書きたいと思っています.

良い例を思いついたら,随時追加予定です.

積分を用いた2次元平面内の図形の面積の求め方

つまり「2次元体積」です.$x$-$y$平面における面$S$の面積は,以下で定義されます:
\begin{aligned}
\int_S \,\mathrm{d}x \,\mathrm{d}y.
\end{aligned}

円の面積

半径$a$の円の面積.極座標に変数変換して積分することで簡単に計算できます:
\begin{aligned}
&\int_S \,\mathrm{d}x \,\mathrm{d}y \\
&=\int_{0}^{2\pi} \,\mathrm{d}\theta \int_{0}^{a} r \,\mathrm{d}r \\
&=2\pi\cdot \frac{a^2}{2}\\
&=\pi a^2.
\end{aligned}



極座標に変数変換しないで求めていましょう.$y>0$の範囲(半円の面積)を2倍すれば求めることができます:
\begin{aligned}
&\int_S \,\mathrm{d}x \,\mathrm{d}y \\
&=2\int_{-a}^a \,\mathrm{d}x \int_0^{\sqrt{a^2-x^2}} \,\mathrm{d}y \\
&=2\int_{-a}^a \sqrt{a^2-x^2} \,\mathrm{d}x.
\end{aligned}
ここで,$x=a\cos \theta$とすれば$\sqrt{a^2-x^2}=a|\sin\theta|$,$\mathrm{d}x=-a\sin\theta\,\mathrm{d}\theta$なので
\begin{aligned}
&=-2a^2 \int_{\pi}^0 \sin^2\theta \,\mathrm{d}\theta \\
&= 2a^2\int_0^\pi \frac{1-\cos 2\theta}{2} \,\mathrm{d}\theta \\
&= \pi a^2
\end{aligned}
となります($\cos 2\theta$は$[0,\pi]$で1周期の積分となるので計算するまでもなく$0$です!).



注意:単位円$a=1$の面積を求めれば,半径$a$の円の面積は(相似比が$a$であることから)$a^2$を掛けることで求めることができます.

3次元空間内の曲面積

3次元空間の曲面積は,以下の方法で計算できます:
曲面積の求め方の解説(積分による計算)

体積

3次元領域$V$の体積は,以下で定義されます:
\begin{aligned}
\int_V \,\mathrm{d}x \,\mathrm{d}y \,\mathrm{d}z
\end{aligned}

球の体積

半径$a$の級の体積を計算します.これも相似比の考え方を用いて,単位球の体積を$a^3$倍すればより簡単に計算できます.

極座標に変数変換して計算します:

\begin{aligned}
&\int_V \,\mathrm{d}x \,\mathrm{d}y \,\mathrm{d}z \\
&=\int_0^{2\pi} \,\mathrm{d}\phi \int_0^\pi \,\mathrm{d}\theta \int_0^a r^2\sin\theta \,\mathrm{d}r \\
&=2\pi \int_0^\pi \frac{a^3}{3}\sin\theta \,\mathrm{d}\theta \\
&=\frac{2}{3}\pi a^3 \left[-\cos\theta \right]_0^\pi \\
&=\frac{4}{3}\pi a^3.
\end{aligned}

回転体の体積

高校数学ではバームクーヘン積分と呼ばれている方法です(バームクーヘン積分の詳しい解説).

回転体の体積を求める際の図解(バームクーヘン積分)
回転体
$x$-$y$平面において,$\left\{(x,y)\,|\, a\leq x\leq b,\, 0\leq y\leq f(x)\right\}$を$y$軸周りに回転させてできる図形の体積を計算しましょう.円筒座標系に変数変換すれば,
\begin{aligned}
&\int_V \,\mathrm{d}x \,\mathrm{d}y \,\mathrm{d}z \\
&=\int_{0}^{2\pi} \,\mathrm{d}\theta \int_a^b \,\mathrm{d}r \int_0^{f(r)}r \,\mathrm{d}z \\
&= 2 \pi \int_a^b r f(r) \,\mathrm{d}r\\
&= 2\pi
\cdot \frac{\int_a^b x f(x) \,\mathrm{d}x}{\int_a^b f(x) \,\mathrm{d}x}
\cdot \int_a^b f(x) \,\mathrm{d}x
\end{aligned}
最後の等号では,領域の面積$\displaystyle\int_a^b f(x) \,\mathrm{d}x$で割ったあとに,同じものを掛けています.

つまり,回転体の体積は「2π ×(回転させる面の重心のx成分)×(回転させる面の面積)」で簡単に求めることができます.

図形の「面積・重心」を教えてくれるソフトウェアがあれば,回転体の体積を簡単に求めることができます.


重心(幾何中心(図形の重心)の定義)となる理由:
質量密度分布が図形上で一様であるときに力のモーメントが釣り合う点$x_c$が重心の定義なので,

\begin{aligned}
0&=\int_a^b \left(x- x_c\right)f(x)\,\mathrm{d}x.
\end{aligned}
したがって,
\begin{aligned}
x_c&=\frac{\int_a^b xf(x)\,\mathrm{d}x}{\int_a^b f(x)\,\mathrm{d}x}.
\end{aligned}

まとめ

  • 面積や体積は積分で計算可能.円,球,回転体など代表的な計算例で解説.
  • 積分の方法を複数紹介し,理解を深めた.
  • 回転体の体積は「バームクーヘン積分」(面積×重心)で効率的に求められる.