2015-01-01から1年間の記事一覧

【Lebesgue積分】優収束定理(limと積分の順序交換)

POINT 優収束定理(limと積分の順序交換)と応用例の解説. 優収束定理とその適用例を紹介します.微分・積分の順序交換については,以下の記事を参照して下さい: 【Lebesgue積分】微積分の順序交換 - Notes_JP 優収束定理 例 参考文献 優収束定理優収束定…

【正項級数】収束判定法と例

POINT 正項級数の収束を判定する方法と例の紹介. 正項級数というと特殊な感じがするかもしれません.しかし,\begin{aligned} \biggl| \sum_n a_n \biggr| \leq \sum_{n} |a_{n}| \end{aligned}から (正項級数)$\displaystyle\sum_n |a_n|$が収束$\Righta…

【中心極限定理】測定値と標準誤差,コイン投げ

POINT 中心極限定理(Central limit theorem, CLT)の解説. 応用例として測定やコイン投げを紹介. 世の中に正規分布があふれる背景の一つに,中心極限定理の存在が挙げられます. 中心極限定理 【例】測定値と標準誤差 真値$\mu$の推定量について,中心極…

【Lebesgue積分】微積分の順序交換

POINT 微積分の順序交換に関する定理の紹介. 応用例としてGauss積分について解説する. 微積分の順序交換に関する定理と,応用例を紹介します. 極限記号$\lim$と,積分$\displaystyle\int$の順序交換(優収束定理)については,次の記事を参照して下さい:…

【反例】Riemann積分可能でも,Lebesgue積分は不可能な例:sinx/x

POINT 「Riemann可積分であり,Lebesgue可積分でない」有名な例の紹介. 関数$\dfrac{\sin x}{x}$は,広義Riemann積分可能でも,Lebesgue積分は不可能な有名な例として知られています.じゃあ,「Lebesgue積分はRiemann積分よりも計算できる関数が少ないのか…

チェビシェフの不等式とその応用

POINT チェビシェフの不等式(Chebyshev’s inequality)の導出と応用例の紹介. チェビシェフの不等式から,標準偏差がバラツキの尺度となることがわかる. チェビシェフの不等式から,「標準偏差がバラツキの尺度として用いられる」理由がわかります. 【覚…

ベクトル解析の公式

POINT ベクトル解析の公式と,その導出方法の一覧. 行列計算も統一的に理解できる. ベクトル解析の公式と,その導出方法を一覧にまとめました.力学・電磁気学・流体力学などを学ぶ上で,これらの計算はとても重要です.計算練習をして,すぐに公式を導出…

完全反対称テンソルの縮約公式

完全反対称テンソルの縮約POINT 「完全反対称テンソル(レビ・チビタ記号,エディントンのイプシロン)の縮約公式」を簡単に導出する方法. この公式は,ベクトル解析の計算で欠かすことができない. ベクトル解析の重要な公式に,『完全反対称テンソル(レ…

積分公式(三角関数・双曲線関数・指数関数・対数関数)の一覧と導出

POINT 積分公式の一覧(途中計算あり). 対象:三角関数・双曲線関数・指数関数・対数関数. 基本的な不定積分公式を導出します.以下では$a>0$とし,積分定数は省略します. 他の積分公式はこちら: ガウス積分と派生公式 - Notes_JP 指数関数 三角関数 双…

行列の対角化とは?

POINT 対角化の操作は,基底の変換(座標変換)に相当する. 行列の対角化の公式を「行列表示」の考え方で簡単に導く. 対角行列 定義 性質 対角化 対角化とは? なぜ必要? $P^{-1}AP$の意味は? 行列表示によるアプローチ 対角行列であるための条件 対角行…

【行列表示】複素数・四元数・Pauli行列

POINT 行列表示とは,ベクトル空間の基底を単位ベクトルとみなすこと. 複素数の行列表現・四元数の行列表現・Pauli行列を簡単に導出できることを確かめる. 線形代数や量子力学では「線形写像/演算子を行列表示しなさい」という問題に出会います.この記事…

ドル・コスト平均法のリターン

POINT ドル・コスト平均法のリターンを計算する. ドル・コスト平均法では,取得単価が平均化されることがわかる. ドル・コスト平均法は,毎回一定数買い付ける方法よりもハイリターンであることが示される. 最近,積立投資 (確定拠出年金や積立NISA) にお…

条件付き確率をサイコロ1個で考える

POINT サイコロ1個の超極端な例で,条件付き確率の理解を深めましょう. ベン図を使って図解します. 何事も,理解のコツは「極端な例」を考えることです.例えば, 数学なら,すごく数が小さい場合/大きい場合を考える. 物理なら,物理量が$0$あるいは$\in…

条件付き確率いらず!モンティ・ホール問題

POINT モンティ・ホール問題は,誤答しやすいことで知られる確率問題. モンティ・ホール問題を簡単に解く方法を紹介する. 条件付き確率なしでモンティ・ホール問題を理解する方法を紹介します.問題を知っている人向けに結論から.次の考察だけで済みます…

無作為標本と標本平均

POINT 無作為標本と標本平均に関するメモ. 無作為標本 標本平均 参考文献 無作為標本無作為標本 / Random sample独立で同一の確率分布に従う確率変数列$\{X_i\}_{i=1}^N$を無作為標本と呼ぶ.(以下では,確率変数列$\{X_i\}_{i=1}^N$の従う確率分布の平均…

【メモ】REAL AND COMPLEX ANALYS (Walter Rudin)

昔読んだときのノートが出てきたので,読み直してみようかな,という試み(をするかもしれないので,ページだけを用意). 他のルベーグ積分の教科書に比べて,道筋が明快で読みやすかった記憶があります.Real and Complex Analysis(表紙は赤と緑2種類が…

音波(図解)

POINT 1次元の音波を図解する. 図を書く際は,横軸が「位置」か「時間」かをはっきりさせることが重要. この記事では, $\xi$:流体粒子の平衡位置からの変位.バネで言えば,釣り合い位置からの伸びです. $p$:圧力. $\displaystyle v=\frac{\partial\x…

電場の複素表示

記法 電場 パルス $G_{2}(\tau)$ 参考文献 【関連記事】 時間平均 - Notes_JP 記法$g(t)$のフーリエ変換\begin{aligned} \mathcal{F}[g](\Omega) &=\int_{-\infty}^{\infty} g(t) e^{-i\Omega t} \,\mathrm{d}t \end{aligned}$g(\Omega)$のフーリエ逆変換\be…

【計算メモ-音波の散乱】James J. Faran Jr., Sound Scattering by Solid Cylinders and Spheres

音波の散乱に関する計算. 運動方程式 連立方程式の形 円筒座標 弾性体(円筒内部) 流体(円筒外部) 応力テンソル(弾性体) $\sigma_{rr}$ $\sigma_{r\theta}$ $\sigma_{rz}$ 境界条件 $p_{\mathrm{i}} + p_{\mathrm{s}} = - \sigma_{rr}$ $u_{\mathrm{i}…

【読書メモ】フリーソフトでつくる音声認識システム(荒木 雅弘)

フリーソフトでつくる音声認識システム パターン認識・機械学習の初歩から対話システムまで作者:荒木 雅弘発売日: 2017/04/04メディア: 単行本(ソフトカバー)実際に活用するためには,「数式で表すとどうなるか」を整理する必要があると感じました.そこで…

波動現象のエネルギー保存則

POINT 作成中(編集上の都合により公開) 波動現象という観点でエネルギー保存則を整理する. 音波,電磁気学,量子力学 波動方程式を満たす関数には,エネルギー保存則が成り立ちます.音波や真空中の電磁波は波動方程式を満たすことから,これらのエネルギ…

速度ポテンシャル(音波)

POINT 流体力学における速度ポテンシャルの音波への適用例. 【関連記事】 [A]流体力学の方程式(運動方程式・連続の方程式・状態方程式) - Notes_JP [B]音波の方程式 - Notes_JP:速度ポテンシャルの導入について丁寧に説明しています. 速度ポテンシャル …

応力テンソルと圧力の関係について

POINT 応力テンソルと圧力の関係. 完全流体 完全流体完全流体における応力は面に垂直に働く「圧力」だけです.圧力は「圧力の働く点」のみに依存し,「圧力の働く面」のとり方には依存しない(すべての方向に同じ値をとる)ことが示せます.したがって,各軸…

関数の平行移動と波動

POINT 関数$y=f(x)$の$x$軸,$y$軸方向の平行移動を表す方法. 波動現象(例えば,音や光)を扱う際,「速度$V$で進む波」を関数で表す必要があります.これは,「関数の平行移動」を用いて表現することができます. 【関連記事】 関数の平行移動 x方向 y方…

Maxwell方程式の意味

POINT Maxwell方程式は,積分形で考えれば高校物理の電磁気の知識に帰着できる. 流体力学の方程式なども,同様に考えることができる. Maxwell方程式 ファラデーの法則(電磁誘導) クーロンの法則(磁気) アンペールの法則 ガウスの法則 付録 ガウスの発…

不偏推定量とは

不偏推定量 平均値 分散 補足 参考文献 不偏推定量『推定量の分布の期待値』が『推定したい値の真値』と一致することは,「性質が良い」推定量の条件と言えるでしょう.この性質を持つ推定量を,不偏推定量 (Unbiased estimator) と呼びます.無作為標本$\{X…

共変微分の計算法

POINT 作成中... 計算ルール 計算例 反変ベクトル リーマン曲率テンソル 参考文献 計算ルール 成分への作用:$\boldsymbol{\nabla}_\mu T^{\alpha_1\cdots \alpha_p}_{\:\:\:\:\:\:\:\:\:\:\: \beta_1\cdots \beta_q}=\partial_\mu T^{\alpha_1\cdots \al…

ベクトルラプラシアン

POINT 作成中...(未完成,未検算) ベクトルラプラシアンの計算方法と注意点. ベクトルラプラシアンとは 一般式 円筒座標 極座標 参考文献/記事 ベクトルラプラシアンとはベクトルラプラシアンベクトル場(ベクトル値関数)$\boldsymbol{A}(\boldsymbol…

軸対称な波動方程式(ベクトルポテンシャル)

POINT 軸対称な場のベクトルポテンシャルが満たす波動方程式を考察する. $\boldsymbol{\nabla}\times\boldsymbol{A}$が$z$軸に対して軸対称性をもち,$(\boldsymbol{\nabla}\times\boldsymbol{A})_{z} = 0$を満たす場合考えます. 円筒座標 極座標 参考文献/…

ちょっと感動した計算

POINT 個人的にすごい!と思った計算の備忘録です. 覚えておくと応用がきくかもしれません. ラプラシアンの計算 ラプラシアンの計算ラプラシアンの計算\begin{aligned} \boldsymbol{\nabla}^2 f(r) &=\biggl( \frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d} r^2} +\frac{…