スターリングの公式の表式について


  • スターリングの公式の異なる2つの表式の関係.


統計力学でよく出てくるStirlingの公式について考察します.

スターリングの公式とは?

スターリングの公式 (Stirling's approximation/Stirling's formula)は,ガンマ関数 (階乗)に関する公式です.物理の教科書では
\begin{align}
\log N!=N(\log N-1)+O(\log N)\qquad(N\rightarrow\infty)
\tag{1}\label{eq:st_phys}
\end{align}
と書かれることが多く,数学の教科書では
\begin{align}
\lim_{s\to \infty}\frac{\Gamma(s+1)}{\sqrt{2\pi} s^{s+1/2}e^{-s}}
=1
\tag{2}\label{eq:st_math}
\end{align}
と書かれることが多いです.

式 (\ref{eq:st_phys})の$O(\cdot)$はLandauの記号です .詳しくは次の記事を参照して下さい:
www.mynote-jp.com


式 (\ref{eq:st_phys})の導出

よく$\log x$を図示して説明されるように,以下の不等式
\begin{align}
\int_1^N\log x\,\mathrm{d}x
\leq\log N!=\sum_{n=1}^N\log n
\leq\int_1^N\log x\,\mathrm{d}x+\log N
\end{align}
が成立します



補足:
これは,(よく図を書いてされる説明からわかるように) ほとんどRiemann積分の定義から示されます:
区間$I$上でRiemann可積分な関数$f(x)$は
\begin{align}
\sum_{k} \inf\{f(x)|x\in I_k\}
\leq \int_I f(x)\,\mathrm{d}x
\leq \sum_{k} \sup\{f(x)|x\in I_k\}
\end{align}
を満たします($\{I_k\}_k$は$I$の分割).これを$\log x$に適用すれば,最初の不等式より
\begin{align}
\int_1^N \log x\,\mathrm{d}x
\geq \sum_{n=1}^{N-1} \min_{[n,n+1]}\log x
=\sum_{n=1}^{N-1}\log n
\end{align}
が,2つ目の不等式より
\begin{align}
\int_1^N \log x\,\mathrm{d}x
\leq \sum_{n=1}^{N-1} \max_{[n,n+1]}\log x
=\sum_{n=1}^{N}\log n
\end{align}
がわかります.


部分積分により
\begin{align}
\int_1^N\log x\,\mathrm{d}x
=N(\log N-1)+1
\end{align}
なので,上の不等式は
\begin{align}
\frac{1}{\log N}
\leq\frac{\log N!-N(\log N-1)}{\log N}
\leq\frac{1}{\log N}+1
\end{align}
と変形できます.

この式から,任意の$M>0$をfixするとき,$N>M$において
\begin{align}
\left|\frac{\log N!-N(\log N-1)}{\log N}\right|
<\frac{1}{\log M}+1
\end{align}
が成立することがわかりました.

よって,$O(\cdot)$の定義(ランダウの記号の使い方 - Notes_JP参照)から,式 (\ref{eq:st_phys})が成立します:

式 (\ref{eq:st_phys})(再掲)
\begin{align} \log N!=N(\log N-1)+O(\log N)\qquad(N\rightarrow\infty) \end{align}

2式の関係について

式 (\ref{eq:st_phys})と式 (\ref{eq:st_math})の関係について調べてみましょう.

式 (\ref{eq:st_math})は
\begin{align}
\Gamma(s+1)\sim\sqrt{2\pi} s^{s+1/2}e^{-s}\qquad(s\rightarrow\infty)
\end{align}
と表すことができます.もし
\begin{align}
\log \Gamma(s+1)\sim\log \left[\sqrt{2\pi} s^{s+1/2}e^{-s}\right]
\qquad(s\rightarrow\infty)
\end{align}
が成り立てば,$s$が自然数の場合に式 (\ref{eq:st_phys})に帰着しますね.

では,左辺を$f(x)$,右辺を$g(x)$として,この式が成立することを調べてみましょう.
いま,$f(x)\sim g(x)$ですから$\lim \left(f(x)/g(x)\right)=1$が成立します.
また,$\lim|\log g(x)|=\infty$なので,
\begin{align}
\left|\frac{\log f(x)}{\log g(x)}-1\right|
=\left|\frac{\log \left|f(x)/g(x)\right|}{\log g(x)}\right|
\rightarrow 0 \qquad(x\rightarrow\infty).
\end{align}
よって,$\log f(x)\sim \log g(x)$が言えました.

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