バームクーヘン積分とは?回転体の体積を求める公式・図解・導出

バームクーヘン積分とは,回転体の体積を薄い殻(シェル)に分けて積分する方法です.

「バームクーヘン積分」を含む様々な立体の体積の計算例は,こちらの記事(立体の体積の求め方まとめ)で詳しく紹介しています.

バームクーヘン積分とは何か?

回転体の体積をバームクーヘンのような薄皮に分割して足し上げることで計算する方法は「バームクーヘン積分」と呼ばれます.

英語だとShell integrationShell method(シェル法)と呼ばれているようです.立体をShell(殻)に分割して足し上げるイメージにピッタリの名前ですね.


バームクーヘン積分の公式

"回転体のバームクーヘン積分による体積計算の図"
回転体
バームクーヘン積分
「区間$[a,b]$における$f$の値」と「$x$軸」で囲まれる領域の$y$軸周りに回転させてできた立体の体積は
\begin{aligned}
2\pi\int_{a}^{b} xf(x) \,\mathrm{d}x
\end{aligned}
で与えられる.

また,この公式は以下のように変形することができます:

\begin{aligned}
&2\pi\int_{a}^{b} xf(x) \,\mathrm{d}x \\
&=2\pi
\cdot \frac{\int_a^b x f(x) \,\mathrm{d}x}{\int_a^b f(x) \,\mathrm{d}x}
\cdot \int_a^b f(x) \,\mathrm{d}x \\
&=2\pi \times (\text{領域の重心}) \times (\text{領域の面積})
\end{aligned}

バームクーヘン積分の幾何的な意味

"バームクーヘン積分を用いた回転体の体積の求め方を図で解説"
バームクーヘン積分の幾何的な意味
区間$[x,x+\mathrm{d}x]$にある微小な領域の体積
\begin{aligned}
2\pi x \times f(x)\times \mathrm{d}x
% \label{eq:volume-of-shell}
\tag{1}
\end{aligned}
を区間$[a,b]$で足し上げるという意味です:
\begin{aligned}
&\sum 2\pi x \times f(x)\times \mathrm{d}x \\
&\rightarrow \int_a^b 2\pi x f(x) \mathrm{d}x
\end{aligned}



【補足】
式(1)は 3辺の長さが「$2\pi x$, $f(x)$, $\mathrm{d}x$」の直方体の体積と考えるのが簡単です.あるいは,外側の円柱から内側の円柱をくり抜いたと考えれば
\begin{aligned}
&\pi (x+\mathrm{d}x )^2 f(x)
-\pi x^2 f(x) \\
&= 2\pi x f(x) \mathrm{d}x +\underset{\text{微小量}}{\underline{ \pi \left(\mathrm{d}x \right)^2 f(x)}}
\end{aligned}
と求めることができます($(\mathrm{d}x)^2$は微小量なので無視).

バームクーヘン積分の証明

高校数学の知識で示す方法は考え中...

極座標への変数変換の知識(大学教養程度)があれば,次の方法で簡単に示せます.