POINT
- 1次元の音波を図解する.
- 図を書く際は,横軸が「位置」か「時間」かをはっきりさせることが重要.
この記事では,
- $\xi$:流体粒子の平衡位置からの変位.バネで言えば,釣り合い位置からの伸びです.
- $p$:圧力.
- $\displaystyle v=\frac{\partial\xi}{\partial t}$:流体粒子の速度.
進行波
流体粒子の変位が\begin{aligned}
\xi(x,t)
&=\sin(kx-\omega t) \\
&=\sin\biggl[k\biggl(x-\frac{\omega}{k}t\biggr)\biggr]
\end{aligned}
で与えられる場合を考えます.このとき,変位の波は$x$軸方向に速度$\omega/k$で伝わっていきます(参考:関数の平行移動と波動 - Notes_JP).\xi(x,t)
&=\sin(kx-\omega t) \\
&=\sin\biggl[k\biggl(x-\frac{\omega}{k}t\biggr)\biggr]
\end{aligned}
$t=0$での変位$\xi(x,0)=\sin(kx)$を図示したものが以下です.
上図の「赤矢印」は,各位置$x$における流体粒子の変位の方向と大きさを表しています.
下図は,「赤矢印」の終点に縦線を引いたものです.これから,
- 流体粒子が集まる「密」の部分.
- 流体粒子が離れる「疎」の部分.
「密」の部分では圧力が上昇し,「疎」の部分では圧力が減少することから,圧力は下図で表されます.
次の関係が成り立っていることに注意しましょう:
変位 | 最小 | ゼロ | 最大 |
---|---|---|---|
圧力 | ゼロ | 最大 / 最小 | ゼロ |
速度 | ゼロ | 最大 / 最小 | ゼロ |
速度に関しては,
\begin{aligned}
v&=\frac{\partial\xi}{\partial t}
\end{aligned}
から計算できます.$\xi$の図からもわかるように,$\xi(x,t)=\sin(kx-\omega t)$のときv&=\frac{\partial\xi}{\partial t}
\end{aligned}
\begin{aligned}
v&=\frac{\partial\xi}{\partial t} \\
&=-\frac{\omega}{k}\frac{\partial\xi}{\partial x}
\end{aligned}
となることに注意しましょう($\partial \xi/\partial x$に比例するのではない).これは,$\xi(x,t)=\sin(kx-\omega t)$を「$kx$を変数として微分する」のと「$-\omega t$を変数として微分する」のが同じであることからわかります.v&=\frac{\partial\xi}{\partial t} \\
&=-\frac{\omega}{k}\frac{\partial\xi}{\partial x}
\end{aligned}
定在波
そのうち作成...定在波は逆方向に進む進行波の影響があり,上の「進行波」の場合とは異なる振る舞いになります.
コメント
この記事は,音波の速度ポテンシャル(速度ポテンシャル(音波) - Notes_JP)を計算した際,直感的なイメージについて考察したことをまとめたものです.図はTikZで作成しています.需要があれば公開します.